デジタルガバメント・ガバメントクラウド 読みもの(人事・労務向け記事)

人事労務担当者に朗報! 労働安全衛生法関係の報告書類がweb上で作成可能に

投稿日:2020年2月18日

厚生労働省は2019年12月2日より、労働基準監督署へ提出が必要な労働安全衛生法関係の届出をインターネットで作成できるサービスを開始しました。

作成可能な届出とは?

今回インターネットで作成可能となった届出は、取扱い件数が多く、代表的な以下の4種類となります。

  • 労働者死傷病報告(休業4日以上)
  • 定期健康診断結果報告書
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(ストレスチェック)
  • 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告

【作成サイト】
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス

届出が必要となる要件とは?

ここで今一度それぞれの届出が必要となる要件を確認しましょう。

労働者死傷病報告

労働者が労働災害等によって負傷し、または死亡した場合に提出する書類で、休業日数によって提出する様式・提出期限が異なります。

休業日数が4日以内の場合、または労働者が死亡した場合

災害発生後、速やかに(1~2週間以内)労働者死傷病報告書を提出する必要があります。

休業日数が3日以内の場合

3ヶ月に一度、発生した労働災害をまとめて翌月末日までに報告します。

  • 1~3月…4月末日まで
  • 4~6月…7月末日まで
  • 7~9月…10月末日まで
  • 10~12月…1月末日まで

定期健康診断結果報告書

すべての事業者は常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、医師による定期健康診断を行わなければなりません。その中で、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断結果報告書を遅滞なく提出する必要があります。

心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(ストレスチェック)

事業者は労働者に対し、1年以内ごとに1回、心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければなりません。
その中で、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を提出する必要があります。(50人未満の事業所は努力義務)

総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告

業種や労働者数に応じて各々選任すべき基準が定められおり、基準に該当した事業所は選任をした旨の報告をする必要があります。
選任基準は以下のとおりとなります。

総括安全衛生管理者

次の表にあてはまる事業場ごとに総括安全衛生管理者を選任する必要があります。

使用労働者数 業種
常時100人以上 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業
常時300人以上 製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、
各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、
各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
常時1,000人以上 その他の業種(屋内産業・非工業的業種)

安全管理者

次の表にあてはまる事業場は有資格者から専属の安全管理者を選任する必要があります。
※専属とはその事業場のみに勤務する者

使用労働者数 業種
常時50人以上 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、
製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、
各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、
各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

次の表にあてはまる事業場は少なくとも1人専任の安全管理者を選任する必要があります。
※専任とは勤務時間の専らを安全管理者の仕事に費やす者

使用労働者数 業種
常時300人以上 建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業
常時500人以上 無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、
港湾運送業
常時1,000人以上 紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業
常時2,000人以上 上記以外で安全管理者の選任が必要な業種
(過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業所)

衛生管理者

業種と問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場は選任する必要があり、労働者数によって選任すべき人数が決められています。選任すべき人数は次の表のとおりです。

使用労働者数 選任人数
50人以上 200人以下 1人以上
201人以上 500人以下 2人以上
501人以上 1,000人以下 3人以上
1,001人以上 2,000人以下 4人以上
2,001人以上 3,000人以下 5人以上
3,001人以上 6人以上

産業医

業種と問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場は選任する必要があり、労働者数によって選任すべき人数が決められています。選任すべき人数は次の表のとおりです。

使用労働者数 選任人数
常時50人以上 1人以上
常時3,001人以上 2人以上

お役立ちポイント

事前登録なしに使用可能

事前に会社名やメールアドレスといった面倒な登録は一切ありません。いきなり作成から始める事が出来ます。

誤入力・未入力・書類の添付漏れに対するエラーメッセージの表示

各項目に番号が附番してあるので、誤入力・未入力がある場合は番号とエラー内容が確認出来るため修正箇所が分かりやすくなっています。
事前に確認出来る事で再提出や修正といった手間を省く事が出来ます。

過去の保存データを利用出来、入力が楽に

保存データさえ保管しておけば、次回以降の入力がデータを読み込み変更箇所だけ修正するというように、入力が容易になります。
定期的に提出する必要のある報告書などの共通項目は、一から記載する必要がなくなるので非常に便利です。

24時間365日利用可能!

一度に最後まで作成する必要がないため、途中でデータを保存しておけば、時間が出来た時に途中からいつでも作成を再開できます。

自動入力機能やPC上での作成ならではの機能が便利

法人番号や郵便番号を入力すれば自動的に会社名や住所の一部が入力される機能があり、便利です。そして何といってもPC上の作成であるため、誤字に気が付けばすぐ修正する事が出来ます。記載が必要な様々な情報も、自社で管理しているデータがあればコピー&ペーストが可能です。紙で記載していた時には、時間もかかり書き直しや訂正印が必要となっていた作業が不要になります。

まとめ

このサービスで1点注意すべき点は、報告書は電子申請で提出できるわけではないところです。
Web上で作成した届出・申請書は印刷し、管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
とは言え、紙からの作成と比較すると格段に便利である事は間違いありません。
働き方改革が叫ばれる中、活用できる便利な機能は積極的に利用し、効率的な仕事の進め方を目指していきたいですね。

-デジタルガバメント・ガバメントクラウド, 読みもの(人事・労務向け記事)
-, , ,

関連記事

R6年度 キャリアアップ助成金拡充! 改正ポイント解説

非正規雇用の労働者の正社員化などのキャリアアップを行った事業主に助成されるキャリアアップ助成金の正社員化コースは、令和5年11月29日以降制度が拡充されます。 この記事ではキャリアアップ助成金の概要や …

【2019年4月施行】時間外労働等改善助成金 (テレワークコース)について徹底解説!

国内の労働環境を改善するため、国は労働時間の見直しや有休休暇の取得促進などの内容を盛り込んだ「働き方改革関連法」を2018年に成立させ、2019年4月から適用されています。 これに伴い、働き方改革を行 …

インフルエンザになったら会社都合の欠勤になる?それとも有給扱い?

【Q&A】インフルエンザになったら会社都合の欠勤になる?それとも「有給」扱い?

毎年、1月から2月にかけてインフルエンザが猛威を振るい、全国的に流行します。インフルエンザになったら、数日間会社を休まなければなりませんが、この場合、会社都合の欠勤となるのか、または有給休暇を使えるの …

【Q&A】時間単位の有休を取るパート従業員が多い職場は合計5日消化すれば問題なし?

働き方改革法案が成立し、2019年4月以降、すべての会社で、有給を付与してから1年間のうち有給休暇消化日数が5日未満の従業員については、会社が有給休暇を取得すべき日を指定することが義務付けられました。 …

年末調整の電子化で業務はどう変わる?メリットと課題まとめ

令和2年分の年末調整から、手続きの電子化にむけた施策が実施されます。その一環として、国税庁から年末調整控除申告書作成用ソフトがリリースされました。何かと忙しい年末のこの時期、「年末調整業務を電子化して …