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知らないとまずい!特別条項付き36協定の上限時間を徹底解説!

投稿日:2019年2月13日

時間外や休日の労働について取り決めがされている36協定。その36協定で定められる「特別条項」の詳細な説明ができる人は意外と少ないもの。

実際、平成25年度に厚生労働省が行った調査では労働基準法の違反企業の多さが取り上げられ、資料68ページに及ぶ違反企業が公表されています。
違反企業として名を連ねないためにも、36協定と特別条項について正しく理解し、自社の状況を振り返ってみてください。

【出典】厚生労働省HP「労働基準関係法令違反に係る公表事案」
【参考】特別条項付き36協定のOK事例とNG事例をご紹介

特別条項とは?

特別条項とは、36協定(※)で定めた時間外労働の上限をさらに超えた労働時間の延長を定める条項のこと。もちろん、労働者・使用者両方が納得した上で定めることは決まっています。しかし、この特別条項はあくまで「一時的な措置」と決められているのが特徴です。

突発的な大型受注や予期せぬ退職者が相次いだなどの状況を解決するために設定できる、イレギュラーケースと覚えておきましょう。つまり、頻度が高くない・特別な事情があるなどの場合に、36協定で定めたこと以上の時間外労働を認める条項となっています。

【36協定についておさらい(※)】
労働基準法第36条で定められている、労働者と使用者(企業側)間の協定です。内容は時間外・休日の労働について。残業をさせることがある企業は、規模や設立年などに関わらず必ず36協定を結んでいなければなりません。

36協定を結ぶときには、労働者の過半数で組織する労働組合が必要です。労働者の過半数で組織する労働組合がない企業は、従業員代表(過半数代表)が企業側と協議した上で決定することが決まっています。また、仕事により延長してはならない職種があるため、それを忘れて仕事の指示をして時間外労働を強いるようなことがあると、労働基準法令違反となります。

36協定の詳細はこちら

しかし、冒頭にご紹介した通り、違反企業が1年間の公表分で68ページ分(すべてが時間外・休日労働の違反ではない)も発生してしまうわけですから、違反意識の薄さがわかるでしょう。ブラック企業・過労死などの問題の多くは、この協定をしっかり守っていれば防ぐことができたかもしれないのです。

これまでは罰則がなかったことで、「守れない」という判断を企業が下していたのでしょう。36協定に関する誤った認識、会社の経営状況、そしてこれまでの働き方などを是正するのには手間もお金もかかることなどを理由に、守らない・守れないという企業が多くなっていたのだと考えられます。

ではまず正しい認識を持つために、36協定で定められている内容を確認していきましょう。

36協定でも時間外労働の上限はある?

36協定

通常は時間外・休日労働は禁止。時間外・休日労働をさせたいのであれば、必ず36協定を結ぶ必要があります。36協定を結ぶと残業時間が青天井と勘違いしてしまう企業も多いようですが、もちろん36協定にも時間外労働の上限は設定されていますので注意しましょう。

法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させる場合は、36協定で定められている上限時間をオーバーしないように確認をしてください。変形労働時間制の対象者は、一般労働者よりも時間が短く設定されていますので、注意しましょう。

36協定の上限時間

上限時間はこれまで「限度基準」というものでしたが、2019年の改正では「法律」として定められることに決まりました。これまでは限度基準だったので、「守らなくても問題ない」という認識だった企業側の意識を変えるための厳しい措置となります。

原則としては月45時間・年360時間が上限。もちろん必要最小限に努めることが原則です。

【参考】厚生労働省HP「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(PDF)」

特別条項の注意点

36協定のなかで勘違いしてしまっている人も多い、特別条項の注意点をご紹介します。

特別条項は一時的、突発的な事情の場合のみ

これまでは、長時間労働の抜け道として使われることも多かった特別条項。特別条項を定めていれば、月45時間・年360時間の上限を超えて働けるという実態がありました。しかし、改正後はこのように変更が加わります。

● 年720時間以内
● 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
● 時間外労働と休日労働の合計は2カ月/3カ月/4カ月/5カ月/6カ月それぞれの平均がすべて1カ月あたり80時間以内
● 時間外労働が月45時間を超えるのは年に6カ月まで

特別条項では上記の範囲内において、36協定の上限を超えて勤務をしてもらうことが可能です。しかし、あくまで一時的・突発的で特別な状況を改善するために行うものです。これまでは「特別条項さえ結べば」と考えていた企業も、2019年の改正を見据えて準備を進める必要があります。

特別条項を結んでいるからといって上限を超えて従業員を働かせ続けると、あっという間に過労死ラインを超えてしまいます。そうならないように、月45時間以上働かせるのは年6カ月までと定められているのです。法律で定められていることですから、遵守できるよう会社側の体制を整えるようにしましょう。

現行ルールは2019年3月まで

中小企業は大手の1年後となる2020年4月よりスタートが決定していますが、大手企業は2019年の4月から改正ルールが適用されます。その間に対策を行い、違反企業とならないように注意しましょう。

特別条項付き協定の改正(2019年4月~)でどう変わる?

臨時的かつ特別の事情でなければ限度時間を超えるのはNG

臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることはできません。

【引用】 厚生労働省HP「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(PDF)」

改正以前は業務上やむを得ないなどの理由で、継続的に限度時間をオーバーする企業も多くありました。今回の改正ではそれを是正するために、臨時的で特別の事情がなければNGとなっています。

限度時間を超える場合のルールが追加

これまで特別条項は下記のようなルールで運用されていました。

● 限度時間以内で延長する時間を定める
● 特別条項が必要な事情を具体的に定める
● 一時的または突発的、1年の半分を超えないの2つを満たすこと
● 限度時間を超える回数/一定の時間を定める
● 特別条項を延長する必要がある場合の手続きを具体的に決める

しかし、これでは違反企業があとを絶たないことから下記のルールが追加されました。

● 36協定で定めた時間外労働時間に罰則付き上限が設定
● 36協定の範囲内でも労働者の安全に配慮する
● 労働時間が長くなれば過労死との関連性が高まることに留意する
● 時間外、休日労働の業務細分化で業務範囲を明確にする

詳細に設定する項目を設けたことで、違反企業を減らす狙いがあります。違反した場合の罰則は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となりますので、これまでよりも強制力を持つ協定となるはずです。時間外労働の抜け道と考えて運用していた、知識を持っていなかったという場合は内容をよく理解し、対応しましょう。

まとめ

働き方改革の流れや過労死問題などを受けて、改善を図ることになった36協定の特別条項。企業側の都合に沿って運用することのないよう、2019年から改正が始まります。これまで特別条項の利用が常態化していた企業は大幅な改革をする必要が出てくるため、ぜひ自社の状況を改めて把握し、改善に取り掛かりましょう。

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