人材を評価する(評価制度の運用・処遇の管理) 読みもの(人事・労務向け記事)

新しい評価制度「ノーレイティング」を中小企業でも実施してみよう!

投稿日:2019年2月1日

新しい人事評価制度でノーレイティングという制度があるらしい。

● 部下のランク付けをしない? これまで築いてきた人事制度はどうなるんだ?
● 評価を付けないと社員が怠けてしまうのではないか?

様々な疑問のある新しい評価制度のノーレイティングですが、
中小企業こそ一度試みてみる価値のある人事制度です。
今回は、新しい人事制度であるノーレイティングについて解説させていただきます。

新しい評価制度、ノーレイティングとは?

新しい評価制度であるノーレイティングとは、「SやA、B」といった社員の等級別評価を行わない評価制度のことを指します。

決して評価をしないというわけではなく、等級別評価制度を行わず1年単位での評価を辞めるということがノーレイティングという評価制度です。
評価制度の決め手としては上司と部下を1対1でしっかりと向き合わせるという方法を採用しています。

ノーレイティングの導入の背景にあるものは、変化の激しいビジネス環境と人手不足対策

現在はビジネスの環境変化が激しく1年前に設定した評価目標が半年も経たないうちに変化してしまうという事態も起こりえます。

1年単位での評価制度運用では評価制度が持たないという事態がどの企業でも頻発している状態です。
また、日本社会は少子高齢化を迎えており、従来の評価制度では優秀な社員や人材の育成が難しくなっているためです。

仮に年に1回の評価面談を行ったとしても、社員に対するフィードバックなども甘くなり形骸化してしまう現象が起こりやすい傾向にあります。

それに対してノーレイティングは面談による評価作成を基本としており、上司が部下としっかりと信頼関係を築くことも可能な評価制度となっています。

導入しているのは外資系企業が多い。しかし、中小企業には非常にマッチした制度!

ノーレイティングを導入している企業として、GEといった外資系企業があります。
外資系企業だからできるといった制度ではなくノーレイティングは中小企業でも威力を発揮できる人事制度といえます。

GE社では「良い仕事をしたり、仕事で失敗したらすぐにフィードバックをする」ということを行っており、即座に社員のモチベーションを立て直すことを実行しています。

目標が柔軟に設定できる上に、上司と社員の1対1での面談を行うことを基本としているからこそ実現可能なことだといえます。

【参考】組織づくりベース hito-link社より

中小企業だからこそできる素早いフィードバック

外資系企業の導入事例を記載しましたが、中小企業であれば各部署の人員は5名以下というケースも多いため、部下が何をしているのかを把握できる可能性が高いです。

目の前で部下がいい仕事をしたり、反対に仕事で失敗して苦しそうな顔をしていたらすぐにフィードバック面談を行い、気持ちを汲み取ることが大切です。

ノーレイティングには上司の負担が上がる半面、細かいフィードバックを行えることで従業員の定着率を改善できる可能性があります。

中小企業でノーレイティングを導入するには?

これまでの評価制度が形骸化していたらまずは上司と部下の1対1の面談を実施するようにしましょう。
なんとなく評価面談を人事考課の直前の時期にまとめて管理職が行うような状況になっていたらほぼその制度は形骸化しているともいえます。

現実的にはこれまでの評価制度を改変することになるため、まずはできるところからやっていくということで上司と部下の1対1の面談を習慣化するというところからスタートするのが良いといえます。

また、報酬体系の見直しなどは労働組合などが社内にある場合は交渉などが必ず出てくるため、少ない人員でもまずは可能な部分から手をつけていくことが大切です。

ノーレイティングで、社員全員のモチベーションアップを実現しよう!

ノーレイティングを導入することで細かいフィードバックを上司が部下に実施することが可能になるため、会社全体が活性化することを可能にします。
また、上司がしっかりと部下の方に目線を置くことで社員の定着にも期待できます。
ノーレイティングで、会社の活性化を目指していきましょう!

-人材を評価する(評価制度の運用・処遇の管理), 読みもの(人事・労務向け記事)
-

関連記事

「民法改正」で身元保証書が無効になる?損害賠償金額の上限記載が義務化に!

民法改正後の「身元保証証」に関する変更点 会社の経営者や、労務担当者にとって、2020年4月からの「民法改正」の内容は、非常に重要なものとなっています。なぜなら、「身元保証書」に対する扱いが変わったか …

2022年年末調整 | 変更点や気を付けるポイントを解説!

年末の作業として企業は、12月の給料日までに従業員の年末調整手続きを進める必要があります。国民全員に必要な納税の義務なので、漏れや抜けを確実に防止することが大切です。ただし、2022年年末調整には複数 …

建設業の「墜落転落災害防止対策」強化について徹底解説

建設業では、足場を点検せず手すりが未設置の状態で作業を進めた結果、死亡災害が発生しているケースもみられることから、喫緊の課題として認識されています。 そのため、厚労省ではマニュアル見直しを提案し、木造 …

36協定の「従業員代表」の決め方や手続きの進め方をまとめてご紹介!

人事・経営者など会社の労働基準に関わる人にとって、知っておかなければならないのが36協定に伴う「従業員代表」の選出方法や手続きです。どういった企業なら従業員代表を設ける必要があるのか、具体的な進め方な …

【図解で徹底解説】2026年度の障害者法定雇用率2.7%見直しで思わぬ支払い義務が発生?

2023年1月18日に開かれた「労働政策審議会障害者雇用分科会」より、2026年までに障害者法定雇用率の段階的な引き上げが発表されました。 2023年時点では43.5人未満では雇用義務なしですが、20 …